先々週、おそい墓参りで帰省した。
夜の早い年老いた両親にお休みをいい、二階の 兄 の部屋でしばし時を過ごす。
主のいなくなった空間は、あれから時間が止まってしまったようだが、本好きだった彼らしくうず高く積まれ、埃だけが堆積していく。古くはリルケやボーヴォワール、武田泰淳や井上光晴に大江健三郎、安部公房・・・。 そして仕事用の料理や製菓本に、養老孟司と司馬遼太郎が交じって。
痕跡をさがしていると、なにか書き連ねた机上の原稿用紙に交じり、日に焼けたちいさなメモ紙が目に入った。
誰の引用だろう・・・。 調べるとシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」だった。
今でも悔いが残るのは、病に倒れる前、売り言葉に買い言葉の行き違いのまま別れた彼との最期。
「再び会えし時は笑みをかわし」たい。
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